耕作放棄地による4つの問題点とその解決策

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豆知識

近年農家の高齢化や後継者不足により、放棄された農地が増加傾向にあり、耕作放棄地が深刻化しています。

※資料:農林水産省

今回は耕作放棄地が増えるとどんな問題があるのか、またその解決策はどんなものがあるのか。詳しく解説していきます。

耕作放棄地が引き起こす4つの問題点

まずは耕作放棄地が引き起こす問題点を簡単にまとめると以下の4つになります。

・野生動物の侵入

・災害時の危険性が高まる

・不法投棄の原因となる

・食料自給率の低下

では詳しく解説していきます!

野生動物の侵入

鹿や猪など山から降りてきた野生動物が、耕作放棄地に人の気配がないことを察すると、

そこを餌場にして頻繁に出入りするようになり、居着いてしまうことがあります。

そのまま放置すると、その場所が彼らの住処となり、そこを拠点に周辺農家を荒らしてしまう恐れがあります。

災害時の危険性が高まる

農地は作物を育てる場所というだけでなく

洪水をせき止める、火災の延焼を抑える、

一時的な避難場所になるなど、

防災機能を備えた場所でもあります。

耕作放棄地が増え、人の手で管理されなくなると、防災機能も失われ災害時における危険性が高まる恐れがあります。

不法投棄の原因になる

耕作放棄地は不法投棄をする場所として、とても狙われやすい傾向にあります。

同じ空き地であっても荒れて管理されていないような印象を与えてしまうと、不法投棄者に『少しぐらいわからないだろう』という心理を抱かせ、ゴミを持ち込まれてしまいます。

また、ゴミがゴミを呼ぶという悪循環になってしまう場合もあります。

大量にゴミが放棄された土地は、仮に農地として再生することになっても、その作業には多大な労力と時間を要します

食料自給率の低下

農林水産省の発表によると、2021年度の日本の食料自給率は、38%(カロリーベース)となっており、残りの62%が海外からの輸入に頼っているということになります。

画像引用元:農林水産省

もちろん、この結果を招いたのは農地現象だけでなく、米の消費減退や新型コロナウィルスの影響など、様々な要因が関係しています。

ですが、耕作放棄地が増えることによる農作物生産量の減少が、食料自給率の低下に大きく響いているのも確かです。

耕作放棄地問題の解決策

耕作放棄地が増えることにより、様々な問題点があることがわかりました。

では次にその解決策を以下4つにまとめたので解説していきます。

・農中間管理機構(農地バンク)

・再利用に向けた支援金の支給

・農福連携による農地の再生

・太陽光発電の活用

農地中間管理機構(農地バンク)

2014年全都道府県に設置された、農地中間管理機構は通称「農地バンク」と呼ばれ、信頼できる農地の中間的受け皿として、農地を貸したい人と借りたい人のやりとりを円滑に進める役割を担っています。

画像引用元:施設園芸.com

農地バンクによる貸し手のメリット

貸し手にとっては、賃料が確実に支払われる安心感や、耕作放棄地になる懸念がない点が魅力です。

農地バンクによる借り手のメリット

借り手にとっては、貸し手と直接交渉することなく、農地バンクがたくさんの農地からニーズにあったものを選んでくれるため、使い勝手の良い農地を手に入れられるところが魅力です。

農地バンクの注意点

一見メリットしかないように思える農地バンクですが、少し注意点があります。

契約期間(多くは10年以上)が経過した時点で、借りた農地を継続利用したいと思っても返還を求められた場合は応じなければいけません

また、借りた土地を購入したいと思った場合、原則として農地バンクは関与しないことになっていますので注意が必要です。

再利用に向けた支援金の支給

近年では、各自治体も積極的に支援金事業に取り組んでいます。

また、放置された農地の再利用に向けて国が行う支援金事業として以下3つの項目があげられます。

①耕作放棄地(荒廃農地を含む)の再生利用に向けた活動…雑草・雑木の除去など


②施設などの整備…耕作放棄地の再生利用に必要な用排水施設や貯蔵施設の整備など


③附帯事業…耕作放棄地の引き受け手と受け入れ地域のマッチングなど

農副連携による農地の活用

農副連携の取り組みが進むことで、農業就業人口の減少や、高齢化が進む農業分野において、新たな働き手の確保につながります。

濃福連携とは?

その名の通り「農業分野」と「福祉分野」が一体となった取り組みであり、障害者が農業分野での活躍を通じ、自信や生きがいを持って社会に参画する機会をつくる取り組みのことです。

太陽光発電の活用

耕作放棄地の活用方法には、太陽光発電所として再利用するといったものもあります。

また、太陽光を農業生産と発電とで共有する取り組みのソーラーシェアリングを行うケースもあります。

ソーラーシェアリングとは?

ソーラーシェアリングは日本発祥の考え方で、農業と太陽光発電の両方から収入を得ることで、農業経営の安定が期待できます

ただし、ソーラーシェアリング向いていない作物もありますので、注意が必要です。

まとめ

今回は耕作放棄地が増えることによる問題点、またその解決策についてお話ししていきました。

この記事を読んでさまざまな取り組みにより、耕作放棄地問題の解決策があるということが分かったと思います。

また、今回紹介した解決策以外にも、もっとシンプルで今すぐ個人が取り組めることは、定期的な草刈りだと思います。

栽培する予定がない場合でも定期的に草刈りなどしっかりと管理を行うことで、動物の侵入、不法投棄など未然に防げますし、もしかしたら新たな借り手が見つかるかもしれませんね。

是非参考にしてみてください!